2011年4月19日火曜日

東京電力ー不可解な多額の海外からの株取引に規制当局の関心高まる

The New York Times (オリジナル原文はこちら)
By KEITH BRADSHER
掲載日:2011年4月18日
取材地:東京

日本の規制当局と東京電力の幹部は、2週間前に起きた多額の非公開の買い手による、一連の順序だてられたように見える株取引について調査を依頼している。

規制当局は、6億ドルに及ぶ4月3日の週に香港で行われたこの取引が、株主を特定する開示書類をファイルするために、上場企業の5%以上の所有者を必要とする日本の証券法を回避するために仕組まれたのかどうか確認を急いでいる。

買い注文が実行された価格によっては、この取引は東京電力の株式の10%近くまでに及ぶ可能性がある。

この取引と取り巻く問題は、ここで行われたインタビューで、別会社の上級幹部の説明によるものだ。幹部は、企業と政府のつながりを保護するために匿名性を主張している。

規制当局はまた、中国政府又は他の国が購入資金を調達するためするのソブリンウェルスファンドを利用しているかどうかという調査も非公式に行っている。しかしながら、ヘッジファンドによって行われている可能性もあると、幹部は言う。

「彼らは、誰が取引をしたのかを突き止めるため、本当に強力に迫ってきています。」幹部は規制当局のことを言う。「クジラの場所を掴み、必須開示をファイルする必要がないそういったやり方を仕組んでいる、誰かがいる。」

ハセガワヒロさん、東京電力のスポークスマンはコメントを避けた。

その取引は、原子力事故が東京電力を金融災害で脅かしていたと思われる時に起きている。慌てた投資家は東京電力の株式を放棄し、5分の1近い株が毎日売られ、株価は292円まで下落した。地震前は2,100円あたりを着実に推移していた。

今、最悪の事態が過ぎ去ろうとしたかに見えたところに、強い余震とさらなる津波の可能性が懸念されている。

水素爆発が止まり、汚染水の排出を停止し、ロボットが原子炉棟に入り長期的な修理の可能性を探っている。

政府当局者は、売上税や電気の国家課徴金などによる対策費用の方法について話している。東京電力の株式は、月曜日に東京で467円まで回復した。

さて、こんな時に勇敢にも東京電力の株を買うのは誰だ。

ハラヒロユキさん、日本の証券取引等監視委員会の関係者で、委員会は、特定のケースや調査についてはコメントできないと述べた。ただ、委員会は、3月11日災害後の混乱の中で市場の動きのチェックを強化していたこと、市場操作やインサイダー取引の指摘を含めて行っていたと話した。彼は調査が公開されたかどうかについては明言を避けた。

サトウカズシさん、大蔵省の外貨部の関係者は、もし、ある外国人投資家が国家安全保障上の資産の10%を超える所有権を、日本の金融当局に内緒で追求していたことが疑わしいのであれば、調査が行われるだろう、と話す。そうしなければ、違法行為となる。このような調査が東京電力株に公開されているとは思っていなかったと話す。

経済、産業、日本の公共事業企業で外国からの投資を統括する、日本の総務省国際投資部門の関係者は、彼が東京電力株式の取引の捜査を認識していなかったと述べた。

香港、東京の6人の銀行関係者は、この株式購入についての質問に対し、その件は聞いているがその背後に誰がいるのかはわからないという回答がうち2人からあった。他の4人は、この件は何も聞いていたと述べた。

取引記録によると、投資家たちは、福島第一での事故による東京電力の責任を恐れて、4月3日の週に東京電力の数百万に及ぶ株式を放棄したことを示している。会社株式の5分の1近くの12億ドルの株が4月6日に売却され、10分の1以上の株がその週のうちに売却された。その後、出来高は次第に落ち着いた。

世界最大の銀行たちは、すべて香港にオフィスを構えている。そのため、香港からのオーダーとは言っても香港にある会社、投資ファンドや個人からのものではない可能性がある。

日本の当局は、商業的な問題で中国​​の関与を求めるために動きが迅速だ。特に、昨年秋に、中国が東シナ海の島領有紛争中に日本に重要な希土類鉱物(レアアース)の出荷を2ヵ月間の禁輸措置を課した後だからだ。

しかし、銀行関係者は、中国投資法人である同国のソブリンウェルスファンドは、大規模な利害関係をもつ取引ではなかったようだと話す。中国投資は、論争の的の買収を避ける傾向にある。ソブリンウェルスファンドは、月曜日にはコメントを控えた。

日本でこのような著名な企業が崩壊するとは考えていない日本の金融機関があるとすると、ある買い手がその金融機関になるかもしれない。

ビジネスリーダーたちは、東京電力の完全国有化についての推測には反対してきた。東京電力は長い間、日本の優良企業の中でも、最優良企業とされており、ビジネスグループの中心的な役割を果たしているからだ。国有化は、2週間前には可能性があるように思えたが、その後の政治的対話からは聞こえなくなっている。
(取材協力:タブチヒロコさん)

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