2011年7月3日日曜日

日本の原子力の将来を担う知事の力

By MARTIN FACKLER 
掲載日:201172
発信地:佐賀(日本)

弱い政治的リーダーシップに悩まされる国では、福島第一の事故の後、日本における原子力発電の将来を決定するのに役立つかもしれない重要な決定が、日本南部の県知事に曖昧に任されている。

佐賀県の古川知事は、定期的なメンテナンスのために昨年の冬以降稼働停止している地元の原子力発電所における、2基の原子炉を再稼働するという菅首相の要請を支持するかどうかを、近日中に決定する必要がある。ここで、彼が再稼働せずと決定した場合、他の知事は、佐賀県知事の方針に従い、日本のすべての原子炉は1年程度は稼働停止状態になりかねない、という警戒が膨らんでいる。

日本の原子炉は、法律により、定期的なメンテナンスのため、13ヶ月ごとにを稼働停止する必要がある。全国の54原子炉のうち35箇所は、現在、停止中である。311日の地震と津波による被害の影響のものも一部にはあるが、ほとんどは保守メンテナンスのためである。それらのうちのいくつかが稼働されないと、日本における原子炉は、来年の4月までは稼働されない。日本から電力の3分の1近い資源が奪われることになる。。

停止状態の原子炉を再稼働させるためには、中央政府の承認が必要で、福島の事故以降、承認されていない。災害が続いている原子力発電に対する国民の反発に応じて、菅政府は、地元の政治指導者に対し、再稼働をしないように求めている。

古川氏は、決定を下すことを求められている最初の知事である。このことで、彼は、日本の原子力発電の将来においてある種の先導者となり、彼の決定は、安全性と電力不足脅威の対立についての国民不安という同じ問題を抱える必要がある他の地域の指導者らによって、とても注目されている。

「私は、急に、大きな責任が私にのしかかってきたように感じている。」古川氏、52歳は、インタビューで語る。「原子炉を再稼働しないと決めることで、我々は、ドイツよりも速く、非原発国家になることができる。」2022年までに原子力発電を廃止することを決めた国について言及する。

ほとんどの知事が原子炉の再稼働について形勢を伺っているため、古川氏の動向が注目されているのである。先月、報告された毎日新聞では、原子力発電所を保有する10県の知事は、原子炉を再稼働を支持しておらず、大半が安全対策に関する更なる詳細な情報が必要だと、インタビューで話している。(同様な立場の他の2人の知事はインタビューをされなかった。)月曜日に、福島県の知事は、一歩前進し、福島県の原子力発電所に対する経済とエネルギー依存の終結を求めた。

古川氏は、公然とその判断に苦しみ、7月中旬までに意思決定したいと話している。水曜日に、彼は、中央政府の安全性の説明で満足したと述べ、佐賀県では、原子炉を再稼働する方向に動いていることを示唆した。

この佐賀県での状況から、国の原子力の将来をめぐる議論を形成しているいくつかの力を垣間見ることができる。日本では福島の事故が海外を触発したような大街頭デモはほとんど見られなかった一方で、明確に、原子力発電に対する国民の反発がある。最近の世論調査では、圧倒的多数を示し、東京新聞が先月実施した調査では82%が国の原子炉を廃止を支持している。

しかし、同じ世論調査では、ほとんどの回答者が即時停止を支持していないことも示しており、ゆっくりとした原子力発電の段階的廃止が代替案として支持されている。東京での意思決定者と同じように、ここ佐賀県の路上の会話でも、福島の事故によって公開される危険性と、輸入石炭や石油に重大なエネルギーの代替案を保持しなければならない資源の乏しい国の必要性の間で、明らかに意見が分断されている。

「原子力の安全性については深刻な不安はあるが、それを廃止するにしても深刻な不安がある。」マキハライズル氏、仙台市の東北大学での政治学者は言う。

すべての原子炉を稼働させない見通しを、経済界と国の強力な原子力団体が警戒し、原子力発電を失うと、悲惨な経済的影響が出ると警告を発している。彼らは、日本経済を震撼させるかもしれない、高い電気料金、あるいは停電の発生を警告する。

さらなる原子炉が停止することなくても、エネルギー不足が迫り来る様子の中で、金曜日に政府は昨年より15%、この夏電気使用量を削減するように、在東京の工場など大規模な電気の使用者に命じた。

「もし、すべての原子炉が停止した場合、経済への影響は甚大になるだろう。」と菅首相は先月末警告した。

日本のまだ小さな反核運動は、福島の事故以来、信頼性を獲得している。ただ、それはまだ一般には左翼団体の一部としてみなされている。活動家たちは、社会から葬り去られることへの恐怖と同様に、深刻な無関心のために、多くの日本人が行動を起こさないと、不平を言う。

「多くの人は、影から私たちをサポートしていますが、みんな過激として嫌われることを恐れている。」イシマルハツミさん、59歳、佐賀の反核グループをリードする主婦は言う。

ここでは、多くの人々は、なぜこの重要な判断が、この人口約85万人、最南端本島である九州に位置し、その主な名産は施釉陶器とおいしい牛肉、そんな地方都市の佐賀県に強いられているのかと、困惑していると言う。ある意味では、それはタイミングの問題である。玄海原子力発電所の4つの原子炉のうちの2つは、2ヶ月前に定期メンテナンスを終えてから再稼働を待っている。他の2つの原子炉は、稼働中である。

古川知事は、菅首相が今後のエネルギーの将来について明確な方向性を示さなかったために、自分が決断を下すことになることに対し不平を漏らす。これは、すでに日本全体で聞いた批判であり、そして菅首相が、重要な復興法案が成立されれば辞任することに合意している。

「菅首相は、国が行うべき意思決定から逃げている。」と、古川氏は言う。金曜日に、知事は「彼のエネルギービジョンを聞くために」菅首相との会談を要請している。

彼は、国家政府と現地ビジネスグループから迅速な意思決定をするように圧力をかけられていると、当たり散らす。しかし、彼は、原子力規制当局と工場のオペレーターである九州電力に対し、福島スタイルのメルトダウンがここで起こらないようにどのように防ぐか、という方法についての詳細な説明を繰り返し求めている。

「原子炉の再稼働を望むビジネスグループに答えることは簡単だ。」古川氏は言う。「しかし、それに反対する市民の不安は整合性がない。」

水曜日に、菅首相は、古川氏に直接安全対策を説明するよう、佐賀に海江田大臣を派遣した。先週末、原子力規制当局は、ここ佐賀県で発電所の安全上の公聴会を開催し、ケーブルテレビとオンラインで生中継された。

地方の承認を得なければならないという法的要件はないが、現在の原子力発電に対する反発のため、地元の承認なしに原子炉を稼働することは、政治的に困難であると、九州電力の職員は言う。

玄海発電所のマネージャーであるムラシママサヤス氏は、彼が九州電力の主な安全性の論点を説明するために、県や近隣市町村の会合を訪れていると言った。福島第一とは異なり、玄海の発電所は、断層線の近くに位置しておらず、記録が残っている1000年以上の間、大津波の被害には遭っていない地域である。

原発のある玄海市市長のキシモトヒデオ氏は、すでに再稼働に対する彼の受諾を通知している。彼は、大きな要因は、原発に対する玄海市の経済依存度であり、原発からの税金や補助金は、6,400人の町において、1億円の年間予算の3分の2を提供することを認めた。

「私は、ここに人々の心には、経済的な不安の方が大きくあると思う。」とキシモト氏は言う。

町の住民たちは、ここでの事故で、福島第一の近くで命じられたような避難が強制されることを恐れていると言った。しかし、彼らは、市長の方針に従うより選択の余地はないと言った。

「我々は、私たちの生活が、密接に原発に縛られていることを知っている。」ヒダカヒロヨシさんは言う。56歳、玄海で健康食品の店を営んでいる。「だから、私たちは何も言えないんです。」

(終)

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